最大の関門−就職

今わが家は、本人BOOは、最大の山場を迎えている。就職の問題だ。正直、自分でも就活のことなんて考えたくないという感じなのに、彼に就活なんてまだ早い、と家族誰もが感じている。大学や専門学校に行くという選択肢もある。けれど、それらは彼には無理なことだし、また必要のないことなのだ。というのは、彼はある資格を高校でとって、それを生かして生きていくと決めたから。確かに、社会に出るまでの猶予期間として、また数年学校に行くという選択肢もなくはない。しかし、傍から観ていても、もう彼は次の段階に来ていると思う。つまり、少しずつ社会と接触を持っていくということである。
その為の準備として、アルバイトを必死で説得してさせようとし、本人もその必要性を自覚し、この春いくつか当たってみた。一番狙っていたところから月曜には連絡がくるはずだったが、今日まで連絡がないまま・・。「根気、根気」と自分に家族に言い聞かせていた自分も、それを聞いてまた気分が沈んでしまった。自分の就活の時の連絡待ちよりも、今の方が辛いんじゃないかと思う。自分のことじゃないだけに。
彼の病名は掛かった先生によって異なる。私も詳しくは知らないが、知的障害、広汎性発達障害と言われたらしい。はっきり言ってこんな病名なんかどうでもいい。一人一人症状は千差万別で、とても一つの症名では表せるものじゃない。そしてまた、症状は本人の成長と共に変化していく。うちのBOOに関して言えば、よくここまで成長したなと思う。幼少時代言葉の遅れが激しく、そのため計算などは出来るが、本を読んだり文章を考えたりすることは出来なかった。当然、コミュニケーションもうまくいかず、いじめられ続けた義務教育時代。今でも、会話や文章理解は苦手だが、それでもたまに相手の間違いを鋭く指摘したり、つたない文だが「流れ」のある文章を書けるようになった。私は家を出ている分、帰省する度に彼の成長をはっきり感じることができ、それが喜びでもある。彼の成長スピードは遅い。彼と付き合っていくのには、相当の忍耐を要する。焦る気持ちを抑えながら、我慢強く彼と接していかなければならない。
けれど、先に述べたように、落胆することがしょっちゅうである。彼を励まして導かなければならないのはわかってはいるけど、やはりこの時期になると焦りが出てくる。私も彼と共に、成長しなければならないんだ。